この一年で成長したこと。
この一年間沈黙を貫いてきたわけなんですけどね。
理由はあります。
まぁ、妻のビザが下りたらなんか書くかって思ってたんですよ。
もう1年以上かかっているというね。ちなみにまだかかっています。
ただ、僕も1年間黙ってるわけも当然無く、日々邁進、成長しているわけですよ。
とりわけ皆さんに報告したいのが、ズバリこの一年間で僕はオートミールを食べられるようになりました。
僕とオートミールの出会いは中学生の頃。
あのアメフト漫画の金字塔、「アイシールド21」で主人公小早川セナの後のライバルとなるNASAエイリアンズのランニングバックのパンサーと、同じNASAエイリアンズのクォーターバックのホーマーがパンサーの家でパンサーのおばあちゃんが作った不味いオートミールを食べているシーンなんですよね。
(ネットでその画像を見つける事が残念ながらできなかった。恐らくこの次かその次のページくらいが問題のシーン)
稲垣先生もなんの恨みがあったのか知らないですけど、ここで週刊少年ジャンプを通してとんでもないオートミールのネガキャンを行ったんですよ。
もう皆さん薄々気づいているかもしれませんね。そう、食わず嫌いなんですよ。
でも、まぁ、日本で食べる機会なんてそもそも無いですし、アイシールド21の連載が終了してもう結構経つのでデビルバットゴーストされたみたいに僕の中でオートミールもすっと目の前から消えていました。
ところが本場アメリカに来てみるとまぁ、あるわあるわ。ホテルとか行くとだいたい朝食のビュッフェにあるんですよ。なんか、こう、ねちゃーってしたやつが。
しかも、なんかあのねちゃーってしている温かいのにやれバナナやらベリーやらの果物を入れたりして食べるんですよね、本場では。全然おいしそうじゃない。
さらに、僕のオートミール嫌いに拍車がかかったのが、赴任して間もないころ一度同僚のアメリカ人に「お前らなんで腐った豆なんか食ってるんだ!(納豆)」って言われて、僕も「お前らもオートミールとか言う気持ち悪いの食ってるやんけ!」ってついね、言ってしまったわけですよ。
冷静に考えると、全然対にもなってないんですけど。まぁ、言ってしまったものはしょうがない。もうここで僕とオートミールの溝が決定的になりました。絶対食わんと。
そんなことがあってから3年。オートミールと全く関わってこなかったんですけど、オートミールサイドから思わぬ刺客がやってきたのです。
そう、僕の妻です。
アメリカ国内旅行中、ホテルの朝食ビュッフェを食べていた時の出来事です。
妻が何かに気づき、おもむろに僕に聞いてきました。「あのポットに入っているの何?」と。
僕は一瞬妻の目線の先を見て、こう答えました。「ああ、あれはオートミールやで」と。
まぁ、僕ら世代がアイシールド21を読んで青春時代を過ごしたのは明白。これ以上の事は何も聞いてこないだろうと思い、僕は他のコーナーに行こうとしました。
しかし、このあと妻はとんでもない発言をするのです。
「ふーん。オートミール食べたことないし食べてみようかな」
妻からの不意のサック。
あれ、もしかしてアイシールド21読んでない?僕は慌てて「やめとき、不味いで!(アイシールド21によると)」と注意しました。
「いや、そんなん食べてみやんと分からんやん」と言いながら気づいたらお皿にオートミールを注いでいました。
妻は幼少期にお姉さんから毎日賞味期限の切れた食べ物をちょっとずつ与えられた影響で鋼の胃袋を持つに至ったという、ゾルディック家みたいな家で育ったんで、自らの胃袋に絶対的な自信を持っています。
慌てふためく僕をよそに妻は淡々と席に着き、そしてすっとオートミールを口にしました。
咀嚼後、僕は恐る恐る聞いてみました。
「あ、味どう…?」
「…うん、おかゆや」
…おかゆ?
「食べてみ」
にわかには信じられない妻の発言に戸惑いながらも、僕も妻に続いて食べてみました。
「…うん、梅干しとか欲しくなるな」
そこからというものの、栄養に良い(食物繊維が白米の22倍、鉄分は玄米の2倍、その他ビタミン等もろもろ入っていて低カロリー)ということもあり、家でも食べるようになり、やれ海苔をかけたり、ネギをかけたり、醤油をたらしたりして食べています。
本場と同じフルーツとか砂糖かけたりだと多分日本人の舌には合わないと思うんですが、おかゆと同じような食べ方をしたら確実に食べられます。
ちなみに僕が良く食べるのは、オートミールに胡麻、ネギ、海苔、ほぐした鮭を入れてから醤油をたらしたやつです。美味。
僕はこの一件で、
・固定観念に捉われてはいけない
・何事にもチャレンジしてみる
・パンサーのおばあちゃんは絶望的に料理が下手
ということを学びました。以上です。
VS. 大手ホテル会社 ~失墜の後篇~
前回までのあらすじ:お金が半分だけ返ってきた。
まずクレジットカード会社に確認の電話を入れ事情を聴いた。
僕「あの、$750返ってきたのはいいんですけど、残りの半分は一体・・・?」
クレカ「いや、それがですね・・・分からないんですよ・・・。何も言わずただただ$750だけ振り込まれてきました・・・」
僕はすぐさま怒りの電話をホテルに入れる。
が、待てども待てども電話がつながらない。
仕方がないのでクレームのメールを入れる。
「かくかくしかじか・・・・早く連絡をください。お待ちしております。」
一週間後。
連絡なし。
仕方がないので再度クレームのメールを入れる。
「かくかくしかじか・・・・早く連絡をください。お待ちしております。」
一週間後。
連絡なし。
マジで・・・?
「かくかくしかじか・・・・早く連絡を入れろグラァアアア」
一週間後。
連絡なし。
いや、タフすぎん・・・?仕方がないので、こちらも戦い方を変える。
「かくかくしかじか・・・・こちらはすでに顧問弁護士に相談しております。直ちに行動に移さない場合は法的措置を取らせていただきます。」
勿論これはブラフ。顧問弁護士はこんな小さな案件には対応してくれるはずもない。というかマジで相談したら、「それは対応できない頑張れ^^」といわれたのでもう本当にこの一手で降りてくれないとどうしようもない。もう本当に祈るようにメールを送った。
一週間後。
連絡なし。
法で裁けない悪が確かにそこにあった。
この時点でもうホテルからの支払いが無かった場合は会社が僕に$750振り込んでくれる事になっていたが、僕が損する/しないの問題ではもはや無い。
ただただ・・・もうただただ悔しい。
僕はこの時点で名前は勿論、会社名を明記(こんな大きい会社がバックにいるんだぞうという威嚇)、さらに顧問弁護士がいる事も明記している(法的措置が取れるんだぞうという威嚇)
舐められているのだ。
僕個人だけでなく、会社、そして法治国家をも侮辱しているのだ。
いやー、でももう参った。お手上げですわ。完敗。
結局ね、クレジットカード会社が補てんしてくれましたよ。
でも勝ってはないわな。
良くて引き分け。だけど実質的には3対7くらいで負けてる。
だからね、打たせてください。逆転の一手を・・・藤井六段並の神の一手を・・・
https://www.extendedstayamerica.com/rewards-promotions/default.html
VS. 大手ホテル会社 ~虚無の中篇~
前回までのあらすじ:お金が返ってこない。
兎にも角にもホテル側に連絡がつかない。
困り果てた僕はクレジットカード会社に連絡をした。
僕→ホテル←クレジット会社
という構図で両面焼きのハムエッグ状態にしてやろうという作戦だ。
早速クレジット会社に電話をした。
音声ガイダンス「音声案内に従いボタンをプッシュしてください。For English, press #」
この戦いが長期戦になるであろうという予想の元、体力温存の為・・・
僕は#ボタンは押さなかった。
受付「どういったご用件でしょうか?」
僕「かくかくしかじか」
受付「承知いたしました、すぐに調査いたします。」
ほっ・・・これでなんとか解決かな・・・
受付「調査に最大90日程度かかりますのでご了承ください」
え・・・長っ・・・
長期戦を予想した僕といえどこれは思っていたよりもはるかに長い。
僕「わ、分かりました・・・宜しくお願い致します。」
一旦電話を切り、すぐさま今度はホテルへ電話を掛ける。
僕「金返せ」
ホテル「状況を確認します、少々お待ちください」
イライライライラ・・・
ホテル「確認しましたところ、こちら側でも状況を完全に把握していまして、現在担当マネージャーが処理を行っている最中との事です。」
僕「ほ、本当ですか!?」
ホテル「ええ、来週頃には反映されると思います。」
僕「ああ、よかったです。。ではまた来週確認してみます。」
いやー、本当に良かった。本当に。1,500ドルは大きいですからね。
さぁて、返ってきた1500ドルで何買おうかなー♪
一週間後
約束の一週間。
僕恐る恐る口座を確認した。
おー、入ってる入ってる!
750ドル。
・・・え?
残りの750ドルは・・・?
つづく
VS. 大手ホテル会社 ~憤怒の前篇~
毎月のルーティンの一つとしてクレジットカードの明細チェックというのをしているんですよ。
アメリカでは良く分からない請求が来ているなんて事はままあるみたいで、例えば行った事ないガソリンスタンドからガソリン代を請求されてたりとか。なんかそういうのはあるらしいんですよ。
僕はそういうのに引っかかったことは今までなかったんですよ。
そう、ついこの間まで・・・ね。
いつものように明細チェックを行っていたらね、ありました。
計1,500ドル強。
というのもどういう感じできていたかというと、
10/30 $100 HOTEL A
10/30 $100 HOTEL A
11/2 $300 HOTEL A
11/2 $300 HOTEL A
11/2 $300 HOTEL A
11/2 $300 HOTEL A
まぁ、金額はそれぞれもう少し高かったんですけどこんな感じ。まったく同じホテルから、しかも同じ日のチェックインで複数の請求。
まぁ、意味が分からないですよね。
それでこのホテルを詳しく調べたんですよ。
そしたらこれねー、ちょっとあれなんですよね。。
僕が以前出張で取ろうとして取れなかったホテルだったんです・・・。
~回想~
僕「もしもし、ホテルの予約を取りたいんですけど」
受付「はい、いつからいつでしょう?」
僕「10月30日から一週間でお願いします。」
受付「はい、承りましたー。」
一時間後。
上司「宿泊の日程ちょっとずらして」
僕「わかりました」
僕「あ、もしもし?予約の日を変えたいんですけど。」
受付「・・・すみません、お客様の予約内容が確認できません。」
僕「え、本当ですか?じゃあ予約しなおします」
受付「すみません、その日程はもうすでに満室のようです。。。」
僕「そうですか・・・。え?本当に予約ないんですよね?後から請求されても僕絶対に払わないですよ?」
受付「ええ、予約がありませんので」
僕「そうですか・・・いいですか、絶対に・・・絶対に払わないですからね?じゃあ他の所を探します。」
受付「ええ、予約がありませんので(怒り気味)」
って言ってたのにいいいいいいいぃぃぃ!!!おいいいいいいいぃぃぃぃ!!!
アメリカの同僚に「お前怒ったことあるのか?」って言われた僕ですけど、これには思わず激昂。
もうすぐさま、電光石火でお客様相談室に電話しました。
僕「もしもし、あの、かくかくしかじかで・・・」
客相「すぐに確認します。少々お待ちください」
5分間保留
僕「(イライラ・・・)」
客相「うーん、ちょっと見当たらないですね・・・。予約番号等は無いですか?」
僕「いや、無いです。予約できなかったんですから。」
客相「うーん、私の方ではこれ以上は何もわかりません。一度宿泊されたホテルに電話して頂けますか?」
僕「はい(イラッ)」
客相「あ、お待ちください!!今実はキャンペーン中でして、ご宿泊いただきますと抽選で特別なプレゼントg・・・」
ガチャッ
いや、その営業魂というか、根性というか、ハートの強さというか。どうなってるんだと。
そんなこんなですぐにホテルに電話。
待つこと10分。
誰も出ない。
再度怒りの電話をお客様相談室にかける。
僕「ちょっと、全然解決しないんですけど!」
客相「うーん、分かりそうな部署がもう本日は閉まってますので明日再度かけてもらえますか?」
僕「はい(イラッ)」
客相「あ、お待ちください!!今実はキャンp・・・」
ガチャッ
~翌日~
出勤後、いの一番でホテルに電話を掛ける。
僕「かくかくしかじかで・・・」
ホテル「うーん、予約した形跡はないですね。」
僕「いやいやいやいや、でも確かに僕のところに請求きてますよ。」
ホテル「うーん、私じゃあわかりません。」
僕「もういいです。」
ガチャッ
すぐに昨日教えてもらった別の部署とやらに電話。
僕「かくかくしかじかで・・・」
別部「ちょっとお調べしますねー・・・ああ、はいはい!分かりました!」
僕「なんでしたか!?」
別部「お名前の綴りが間違ってますねー。」
僕「ああ、それで検索に引っかからなかったんですねー。じゃあ原因もわかったんでお金返してください。」
別部「うーん、私じゃあ何もできないので、上司に対応してもらいます。その上司は今不在ですので、48時間以内にお電話しますねー。」
ガチャ・・・
・・・まぁ、何はともあれ解決するんだったらいいか。。
~48時間後~
うーん、連絡こないなぁ・・・
~120時間後~
おま、ふざけんな!!え、上司精神と時の部屋で修行でもしてんの???
メールすらよこしてこない。
僕は何度目か分からない怒りの電話をかけた。
電話「現在オペレーターにつないでおります。しばらくお待ちください・・・」
~30分後~
電話「現在オペレーターにつないでおります。しばらくお待ち・・・」
ガチャ・・・
悲しくなったので電話を切る僕。
僕のお金は本当に返ってくるのだろうか・・・ちなみにこれを書いている今もなおお金は返ってきていない・・・
つづく
クリスマス会
日本で言うところの忘年会的なノリでわが社でもクリスマス会なるものが行われましてね。
もう本当同じような感じで、みんなでご飯を食べたり、プレゼント抽選会をやったりって感じなんです。
僕ってもともとクジ運というか、運そのものがないみたいな位置づけだったんですけど、それもなんだかんだで大殺界的なものを抜けたのかなんなのかよくわからないんですけど、結婚式のビンゴ大会で景品当たったりとかで割と最近はクジ運がいいんですよ。
で、今回も当たんないかなーってぼんやり思ってたんですけど、全然当たらなくて。
まぁ、そんなもんだろうなぁと思ってたら、なんか各テーブルから一名ずつランダムで選出されるクイズ大会に出ることになりまして。
選ばれた人たちは前に並んで、司会の人が出す問題に早押しでクイズに答えて、正解した人は景品を受け取り、席に戻る。で、また司会の人が問題を出す。っていうのを繰り返していくっていうシステムだったんですよ。
よっしゃさっさと答えて、席に戻ろうって思ってクイズに臨んだんです。
もうね、分からん。
なんか芸能ネタとか洋楽とか映画のイントロクイズみたいなのばっかなんですよ。
で、なんでしょうね。なんかとたんに恥ずかしくなってきて。
もう景品うんぬんじゃなくて早く席に戻りたいという想いが加速していきました。
そんな中、僕にチャンスタイムが訪れました。
司会「それではこの曲はなんの映画の曲でしょうか?」
「チャランチャンチャン~♪チャランチャンチャン~♪チャランチャンチャンチャン~♪」
皆さんはこの文字の羅列だけでは分からないかもしれませんが、僕は一瞬で分かりました。
そう、「アナ雪」ですね。映画とか見ない僕でも流石にわかるチャンス問題。
おっしゃ、チャンスやー!!!と思って答えようとしたんです。
そしたらね、ふと思ったわけですよ。
あれ、アナ雪って英語の題名何・・・?
えっと、正式名称が「アナと雪の女王」だから・・・アナ、アンド、ス、スノークイーン・・・?なのか・・・?
僕が躊躇している間、すかさず他の参加者が答えを言った。
参加者「フローズン!!」
いやいやいや、フローズンなわけ・・・
司会「正解!!!」
いやいやいや・・・フローズンなん!?え、日本語名誰が考えたのか知らないですけど、ちょっと意訳にも程がありません???
まぁ、結果として恥をかかずにすみましたが、とにもかくにもチャンスを逃しました。
後がない。という事もないけどとりあえず帰りたい。
僕は全神経を研ぎ澄ませ、次のイントロクイズに備えた。
司会「この曲はなんの曲でしょう・・・?」
「タララランタンタタンタンタン♪」
その刹那。僕に電流が走る。
誰よりも早く、
誰よりも大きく、
そして誰よりも誇らしく僕はその名を叫んだ。
僕「リトルマーメイドオオオオオオオオオオ!!!」
司会「正解!!」
僕は静かにガッツポーズをし、景品を受け取り、静かに席に戻っていきました。
無事席に戻れた僕ですが、今職場で「よぉwwwwwwリトルマーメイドwwwwwwww」と絶賛いじられています。
カジノの本当の楽しみ方
先日ボートメーカーのイベントに出席していた際の話です。
このボートメーカーというのが何を隠そう僕が2週間工場で働いていたあのボートメーカーなんですね。
そこのボートメーカーのイベントともなると僕もそれなりに張り切るわけで、イベント最終日にボートメーカーの社長とか販売店の人とかと遅くまで飲んでたんですよ。
そしたら社長がいうんですよね、「おし、野郎ども!このままカジノへ行くぞ!!」ってね。
アメリカでは州によってカジノが合法か、違法かそれぞれ決まっていて、カジノ自体はざっくりいうと二パターンあります。
一つはイタリア系マフィアがかつて牛耳っていたところ(ラスベガスとか)。もう一つは昔インディアンの土地を奪ったことに対して賠償をする目的でインディアンの人たちにカジノの利権を与えたことをルーツとするところ(この時いたオクラホマとか)があるらしいのですが、今回はこのインディアン系のカジノに行きました。なので完全合法です。一応ね。
僕はアメリカに来てから何度かカジノに足を運んだことがあるのですが、ラスベガスみたいなところとオクラホマみたいなところでは大きく違うところがあるんですね。
それはズバリ客層。
ラスベガスは言っても観光地。観光客が基本的には優雅にカジノを楽しんでいるわけですね。皆余裕があるわけですよ。
一方のオクラホマのような言い方はあまり良くはないですが、ちょっと辺鄙なところにあるカジノは結構地元民とかが通ってまして、まぁ、人によりけりではあるのですが、必死な人もいるわけです。僕も何度か泣き崩れる人とかを見ました。
今宵は一体誰が泣くことになるのか・・・。ドキドキしながらカジノフロアに入室しました。
入るや否や、まずはルーレットが僕らを出迎えます。
社長「マイケル。お前今いくらある?」
ポケットを確認した僕はすぐ返します。
僕「11ドルです!」
社長「馬鹿野郎!!!お前カジノをなめているのか!!」
いや、もう何って現金社会じゃないし・・・。とか思っていると、社長がポケットからさっと100ドル札を取り出し、ルーレットにバンと置きます。
社長「マイケル。黒か赤かどっちだ。お前が言ったほうに全額賭ける。外したらお前のところからは一切商品を買わん。さぁ、選べ。」
入室してわずか1分。早速僕が泣き崩れそうになった。
しかし、泣き崩れる暇もない。
早くどちらか選ばなければならない。
ぱっとルーレットの結果を示す電光掲示板を見る。直前10回回したうち、8回が赤、2回が黒に止まったのが分かる。そして確率というのは収束されていく・・・。
か細い糸のような理論。しかし、この理論に頼るほかなかった。
僕「BLACK!!!」
100ドル札は紙切れのようにぞんざいに黒のマスにおかれた。
文字通り手に汗握らせ、ディーラーがルーレットを回すのを見守った。
コロコロコロコロ・・・コトン。
黒のマスに玉は落ちた。
社長「…BLACK!!! やったぞ、マイケル!!」
神は僕に味方をした。なぜ初っ端からこんな精神をすり減らさなければならないのか・・・ほっと胸をなでおろしたのもつかの間、社長が僕にこう告げる。
社長「マイケル、次は奇数と偶数どっちだ。外したらやはりお前のところからは商品を買わない。」
まるでジェットコースター。またしてもピンチである。
頼るものはやり電光掲示板しかないのか・・・。だが、今回は奇数と偶数がほぼ同じ割合となっている。
どうすればよいのか・・・。
そのとき、マイケルに電流が走る。
いや、待て・・・!落ち着け・・・!ある・・・!またしてもロジックが・・・!
わずかだが、偶数の方が確率が高いはず・・・。なぜならルーレットには「0」があるから・・・!
僕「Even!!!」
僕は自分の立てたロジックに従い、200ドルを偶数のマスに動かした。
ディーラーが静かにルーレットを回す。
人生で一番大きなギャンブル。僕はただただ見守った。
ディーラー「0!」
僕「よっしゃああああああああああああああ!!」
まさに狙い通り。
僕は笑顔で400ドルを受け取ろうとした。
が、400ドルどころか、賭けていた200ドルをディーラーが回収していた。
僕「え、なんで・・・?」
ディーラー「いや、0は偶数じゃないんで」
僕は激怒した。
僕「いや、なんでやねん!!!!0は偶数やろうが!!0は2で割り切れるやろうが!!!!2nのnに0代入してみろ、0やろうがい!!!!なんでそんな事もわからんねん!!!!!」
???「お客様。」
僕「なんや!?こっちは今話s・・・」
「他のお客様のご迷惑になりますので、その辺で。」
めっちゃ屈強な男だった。
僕「おうふ・・・」
僕は泣く泣く引き下がった。
これが僕のお金ならまだしも、大事な取引先の社長のお金。僕は恐る恐る社長の方に顔を向け、「す、すいませんでした!!」と頭を下げた。
が、この後の社長の反応が僕の予想するものとは全く違っていた。
社長「・・・いや!今のはナイスだマイケル。行けるかもしれない・・・!マイケル、次に行くぞ!!」
????
良く分からないまま、次のテーブルへ向かった。
次のテーブルはブラックジャック。
客同士ではなく、客VS.ディーラーの構図になるので、お客さん同士で盛り上がれるゲームである。
僕らは一つ空いていたテーブルに腰を掛け、身内で固めた。
一体社長は何をしようとしているのか。
ディーラーがゲームの準備をしているとき、社長はディーラーにこう問いかけた。
社長「今このテーブルには何台のカメラがついている?」
なるほど、イカサマ防止で各テーブルにカメラがあり、常に監視しているらしい。
ディーラー「えー、このテーブルだと12台ですね。」
そ、そんなあるの?と僕が驚いていると、社長は僕にこう語りかけた。
社長「マイケル。さっきのルーレットで俺たちに多少注目が集まっている。これが何を意味するか分かるか?」
僕「要注意人物扱いされているとかですか?」
社長「そうだ。だから今からこのカジノにあるカメラを犯罪を犯すことなく、すべて俺たちに向けさせる!!!」
僕「なるほ・・・え?いや、社長・・・それに一体なんの意味が・・・」
社長「おし、お前ら行くぞ!!!!!」
うん、あれだな。酔っ払いなんだな。
ここから社長とカジノ側との激しい攻防が始まる。
1ターン目。それぞれ皆掛け金をテーブルに置き、1枚目のカードが配られる。
と、同時に絵札を配られた社長が動く。
社長「俺はここで10ドルレイズする!!!」
ディーラー「お客様!!このタイミングでベットを増やすことはできません!!」
社長「なに!?なんでだ!」
ディーラー「そういう、ルールですので!」
社長「お前・・・!名前はなんだ?」
アマンダ「アマンダです・・・」
社長「アマンダ!フロアマネージャーを呼んで来い!」
アマンダはフロアの奥のほうにいるフロアマネージャーらしき人に合図を送るとすぐさまその人がテーブルにやってくる。
フロアマネージャー「どうかされました?」
社長「アマンダがベットを増やしてくれないんだ!」
フロアマネージャー「いや、そういうルールですので・・・」
社長「何!?・・・そうか。分かった。お前に・・・お前の名前は何だ?」
クリス「クリスです。」
社長「クリス!クリスに免じてここは引き下がろう!行ってくれ」
クリス「はい。」
ゲーム再開。
このターン、ディーラーがバーストし、テーブルの皆が勝利する。
皆「WHOOOOOOOOOOOOOOOO!!」
ハイテンション。夜中の1時を過ぎているのに皆元気である。
社長「アマンダ、サンキュ」
そう言いながら社長は拳をちょこんと前に差し出した。あのスポーツ漫画とかである、あのチームメイト同士で拳を軽くコツンとするやつ。
ところがアマンダは困った顔でこちらを見てくる。
アマンダ「すみません、お客様に直接触ることは許されていないのです・・・。」
社長「何!?おい、クリス!クリスはどこだ!?」
すぐに駆け寄ってくるクリス。
クリス「はい、なんでしょう?」
社長「アマンダは俺の手を触れないのか?」
クリス「そうですね、そういう決まりですね。」
社長「俺はただただ、アマンダと喜びを分かち合いたいだけなんだ!!ダメなのか!?」
クリス「んーダメですね。すいません。」
社長「そうか・・・もう行っていいぞ。」
その後のゲームでも社長は、
社長「この50ドルは俺の分、そしてこっちの50ドルはクリスの分だ!クリスにはお世話になっているからな」
クリス「それはできません。」
社長「俺はカウンティング(ブラックジャックのイカサマ方法の一つ)してるぞ~、どうだクリス!」
クリス「もしされていても大負けしているので問題ございません。」
など、お金をすり減らしながらカジノ側と激しい攻防を繰り広げた。
僕はというと、お金(社長のお金)をちょこっとずつ増やしていた。
ギャンブル開始から2時間。ついに社長のお金が尽きる。
社長は僕のお金(本来社長の)を全額受け取り、全額ベットした。だいたい200ドル弱。
社長「これはアマンダの分、クリスの分、そして俺たちみんなの分だ!!!」
クリス「はい、あなた個人の分として受け付けますねー」
そして淡々とゲームは進み、淡々と社長に弱いカードがわたり、淡々と負けた。
社長「くぅうううう・・・クリス、最後に・・・最後に教えてくれ。今、このテーブルにカメラは何台向いている・・・?」
クリス「んー・・・15台ですね。」
社長「プラス3台か・・・まぁ、上々だな・・・おし、野郎ども帰るぞ!!」
こうしてギャンブルという名の熱を強く帯びた夜は終わりを告げた。
検証結果:お金を500ドルくらい使って、2時間やりたい放題やれば3台の防犯カメラが追加される。
真のお金持ちはこうやって楽しむらしい。
1年。
ハンターハンターが来週から再開するってんで、最後載ってたのいつだったっけって確認したんですよ。
確かアメリカ赴任してすぐぐらいだったような…ってね。考えて気づいたんですよ。
うわ、もう来てちょうど一年になるんかってことにね。
そして富樫先生がそんだけ休んでたんだってことにね。
でも確かにですよ。確かに振り返ってみると着実に時は過ぎ去っていて、僕がアメリカに来てからジャンプでもニセコイ、BLEACH、こち亀、トリコと数々の人気作品が連載終了しているわけで、やっぱり短期間でこんだけ人気作品って連載終了にはできないですもんね。
とりあえず僕も打ち切りにだけはならないようにあと一年頑張りたいと思います。