しがない駐在員の日報(LA編)

駐在員とはなんたるかを綴ったドキュメンタリー的なブログです。

「VS. アメリカ大使館」

先日書類の手続きでアメリカ大使館に出張行った時の話です。

 

 

赤坂のアメリカ大使館に行ってきたんですよ。それでその時たまたまなんですけど、厳戒態勢に入っていたんですね。(サミットの関連ですかね?わからないですけど)

 

 

そんな状況だったんで、すごくすごく長い棒を持ってるんですよ警備員さん。どれくらい長いかというと、ちょっと小洒落た所でフランスパンを買って帰ると、なんというかキャパオーバーでひょこって買い物カバンから出るじゃないですか?あんな感じでした。本当にその棒扱いきれる?って感じ。

 

 

あまり僕は他人の武器に対してとやかく言うタイプではないですが、幽遊白書の時雨以来武器に対して疑問を持ちました。

 

  

 

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参考:幽遊白書の時雨と彼の武器「燐火円礫刀」

 

 

そんなフランスパン持った警備員さんが3メートル間隔くらいで大使館の周りに配備されているんです。ちょっとしたヤマザキ春のパン祭りなんですよ。

 

 

 

なんか大変そうだな~って思いながら通り過ぎようとしたら「はい、止まってくださーい」って警備員さんに制止され、「すいません、本日はどういったご用件でしょうか?あと鞄の中見せてください」と続きます。

 

 

すぐに「書類の申請できました」と言いながら鞄の隅々まで見せました。フランスパンで殴られたくないですからね。

 

 

すると、「はい、結構です。では、次の警備の者にも同様にお見せください。」と言われるんです。いや、簡単に言ってくれますけどね、入り口までに7,8人くらいあと警備員さんいるんですよ。入り口が近いようで遠い。

 

 

 

 

 

ようやく入口にたどり着くと、フランスパンの人が二人と空港とかである荷物をコンベアーに乗せてX線的なものに通すアレ、アレがあるんですよ。厳重ですね、さすがに。一人目にまた用件を聞かれるので機械的に答えながら空港でもあるようなトレーに荷物を載せ、オッケーが出るのでその3メートル先くらいにいる次のフランスパンと話します。

 

 

すると開口一番「はい、荷物を降ろして!ここから先は申請書類以外の荷物の持ち込みは禁止です!きちんと説明を聞いてください!」と激おこなんですね。カッチカチのフランスパンなんですよ。

 

 

僕もあれ?そんな説明あったかな?聞き逃してたのかな?フランス語だったのかな?とか思いながら「すいません、すぐ鞄から残りの書類取ります。」と迅速に対応します。

 

 

鞄をごそごそしながら準備をしていたのですが、その時先ほどのフランスパンの方が小走りでカッチカチのフランスパンのもとにやってきたんですよ。何かな?とか思いながら僕は引き続きごそごそしてたんですけど、ちょっと焦り気味でこう言ってきたんですよ、

 

 

 

「その方、アメリカ人の方です!!」

 

 

カッチカチの方も「え?え?」とか言いながら、僕の申請書類にさっと目を通してハッ!となり、「す、すいません何か証明できるものは・・・?」と恐る恐る聞いてきました。

 

 

僕は「あ~そうですね、うーん、コレとかでいいですか?」ってアメリカのパスポートを見せたんですよ。

 

 

するとカッチカチが「し、失礼いたしました!!アメリカの方は全てのお荷物を持ち込んでいただいて構いません!そのままお進みください!!」って態度をこれでもかってくらいガラッと変えたんですね。

 

 

いや、もう印籠か!って。誰がご老公やねん。誰が光圀公やねん。日本人だとほぼすべての荷物を預けなければならないみたいで、長い時だと待ち時間3時間とか4時間とかを暇つぶし無しでひたすら耐え続けるという苦痛を味わうことになるようです。

 

 

そんなんなで、「あ、じゃあそのまま通りマース」ってX線だけぱぱっと通して悠々と大使館に入りました。しかし、その実アメリカ人でも携帯電話とか刃物とかそういうのは持ち込めないんですよ。それで荷物番の警備員さん(フランスパン未所持)にそういったものを入ってすぐに渡さないといけないんです。

 

 

ただ、その警備員さん僕とフランスパン達とのやり取りをばっちり見ていたんですね。「では助さん、格さん、参りましょうか」の部分まできちんと。

 

 

それで、たぶん規定とかで決まってるんだと思うんですよ。しどろもどろに僕にこう言ってきたんです。

 

 

 

「アー、セルフォン、デポジット、オーケー?」

 

 

え、英語!?まぁ、確かに先ほどのやり取りだと僕ただのアメリカ人ですからね。だから僕もこう答えておきました。

 

 

 

「No problem.」って。

 

 

そんなアメリカ大使館らしい一幕も終えて、いざ中へ。

 

 

さぁ、さっきも英語のジャブを食らったし、「やれやれ、めんどくせえけど本気出しますか…!」と面談を開始するも、まさかの日本人スタッフと日本語で面談。勿論日本語なので問題なく一回目の面談を終える。

 

 

お、思ってたのと違う…。

 

 

5分後、今度はアメリカ人っぽい女性スタッフの方と面談。

 

 

…これやこれ!こういうことや!思ってたのは!

 

 

ただ、少し面談の様子がさっきと違っていた。

 

 

面接官「Please raise your right hand.」

 

 

こ、これからいったい何が始まるんです…?

 

 

とりあえず向こうの要求を飲み、右手を上げる。

 

 

 

「%&$#*@ ?」

 

 

え?なんて?

 

 

いや、言い訳をするとこの時僕はあの刑務所とかの面談で使うような強化ガラス越しにお互い真ん中にある小さな穴を通してやり取りをしてたんですよ。あれ、めっちゃ聞き取りづらいんですよ。正直さっきのも相手の女の人も右手を挙げてくれたからギリギリ理解できたレベルなんですよ。

 

 

やばい、僕が何も答えないから女のひとめっちゃ不振がっている…!

 

 

ガラス越しにお互いの手をくっつけて「こんなに近いのに触れられない。近いようで遠いね…」的な映画のワンシーンを演じろとでも言うのでしょうか?

 

 

とりあえず整理すると、「%&$#*@ ?」って女の人が言ったとき、たぶんですよ、たぶん疑問文だったと思うんですよ。さらに最後「%&$#*@ ↑?」ってこう語尾が上がってたんですよ。つまり5W1Hを用いた質問ではない。

 

だから、「What kind of bread do you like ?」とか「Where is my bread ?」とか「Who ate my bread ?」とか「When did you eat my bread ?」とか「Why did you eat it ?」とか「How was it ?」ではないと。

 

 

それでもまぁ、だいたい質問ってYes かNoかで答える確率が非常に高い。これは賭けだ。

 

 

僕「い、いぇす…」

 

 

 

 

面接官「…Thank you sir. Have a nice day.」

 

 

な、なんか知らんけどあってたっぽいーーーー!!

 

 

そんなこんなで色々とよくわからない状態で帰され、大使館での書類申請は無事終わりましたとさ。無事に渡航できることを祈っています。

「二重国籍保持者の駐在について」

今回書く記事はおそらく、このブログでもっと真面目で、最も為になる記事になるかと思います。タイトルがまずもう論文のタイトルみたいでしょ?

 

もう、まさかのね、駐在前の記事が一番為になる記事って言い切るのもあれ何ですけど、ただこの件に関しては結構ネットで調べまくったんですけどなかなかほしい情報が出なくて、結局アメリカと日本の弁護士が一人ずつついてとりあえず結論が出た話なので有力な情報になるかと思います。ただ、僕は法律の専門家でもないですし、いまいち理解していない部分も多いので正しいという保証はないです。

 

まず状況を整理すると、僕は両親が日本人ですが、アメリカで生まれています。

 

詳細や細かい例は省きますが、大まかにいうと日本の場合は親のどちらかが日本国民だったら日本国民として認められ、アメリカでは親のどちらかがアメリカ国民、もしくは本人がアメリカで出生していればアメリカ国民として認められます。

 

つまり、僕のケースだと、僕は日本国民であると同時にアメリカ国民でもあり、二重に国籍を保持していることになります。

 

しかし、日本の国籍法では22歳までに国籍を選択しなければならないことになっています。(基本的に日本は二重国籍を認めていないが、子どものうちに選択させるのではなく、自分で国籍の選択の判断ができるであろう22歳まで保留期間にするというような扱いです)

 

僕の場合、この法律にのっとり、21歳の時に日本国籍を選択し、アメリカには特に何の申請もしませんでした。

 

ところが、アメリカでは日本と違って二重国籍を認めています。なので、このケースだと日本国内では日本国籍のみを保持している、アメリカでは両方保持している状態になります。

 

この状態でアメリカに駐在するときにどういう問題が生じるかというと、日本人として駐在しようとすると通常ワーキングビザを発行申請するのですが、アメリカ大使館で僕の状態を調べるとですね、「アレ?コノ人AMEIRCA人デスネ」ってなるわけです。すると、「アナタAMERICA人!AMERICA人トシテ働イテクダサイ!」って言われちゃうんです。つまりビザはもらえません。

 

え、じゃあどうすればいいの?ってなりますよね?僕もなりました。日本国籍を破棄するわけにもいきませんからね。弁護士さんと相談した結果以下の三通りの解決法があります。

 

 

  1. アメリカ国籍を完全に破棄し、通常通り日本人として駐在する手続きを取る。
  2. 日本国籍を破棄してアメリカ人になる。
  3. 日本国籍を保持しつつ、アメリカ人としてアメリカで働く。

 

それぞれメリット、デメリットがあります。

 

アメリカ国籍を完全に破棄し、通常通り日本人として駐在する手続きを取る。

 メリット:一度破棄さえしてしまえば国籍に関する煩わしい心配をしなくて良い。

デメリット:アメリカ国籍を破棄するのに時間とお金がかかる(アメリカ大使館にて2回面談、国籍を破棄するのに$2,350手続き費用としてかかる。)

 

実際この方法をとる人は弁護士さんの体感だと全体の3割くらいらしいです。会社が$2,350をぽんと出してくれるか、そして国籍が破棄されるまでの間、そしてそこからさらにビザが発行されるまでの間待ってくれるかがポイントになるのではないかと思います。ただアメリカ国籍を持っているというのはお金で買えない価値のあるものかもしれません。例えばアメリカ国籍を持っていればアメリカでの永住権を持てますし、日本が崩壊してしまったときにはアメリカ人としてアメリカに行くことも可能です。実際この永住権を最終的に入手するために、メキシコとの国境をなんとか越えて、アメリカでなんとか無理やり出産して子供をアメリカ人として認めさせる中南米の人が結構いるとかという話です。

 

 

日本国籍を破棄してアメリカ人になる。

メリット:ネタになる。

デメリット:日本に帰国する際にはもう外国人なので、滞在するのに制約ができてしまう、日本で住むにあたって税金等の関係で不利な条件での生活を強いられる可能性があるなど。

 

日本国籍の再取得は不可能ではないらしいですが、猫ひろしカンボジア人から日本人に戻ろうとする場合なかなか戻れないのではないかと一時期話題になっていたように現実問題時間とお金がかかると思います。

 

日本国籍を保持しつつ、アメリカ人としてアメリカで働く。

 

メリット:手続の時間が他と比べて比較的少ない、両方の国籍をとりあえずキープできる

デメリット:色々な書類の申請がとにかくややこしい。

 

弁護士さんの体感だと全体の約7割くらいの人がこの方法を取られるそうです。実際この方法は日本の国籍法だとアウトで、罰せられる対象にはなるのだそうですが、実際罰せられた例は無いというなんともグレーな感じです。ですが、考えてみると他の国の人を日本の都合で罰することになるので手を出さないのでしょうね。しかし、この方法だととにかく各書類の申請等がややこしいので、色々相談しながら慎重に行ってください。

 

 

まぁ、1か3の方法が現実的です。あとは自分の価値観や、状況に留意しつつ、弁護士さんや会社と相談するといいでしょう!

 

 

よし、もう真面目な記事は書かない!

「駐在員爆誕」

3月中旬。

 

僕はいつものように朝から自分のデスクで仕事をしていた。

 

海外の取引先相手に右手で器用にメールを打ちながら左手で綾鷹をSip。すれちがう女子社員と笑顔でChat。他部署からの怒りの電話に謝罪しつつ、電話越しに相手にBow。

 

そんな日常が水面下で崩壊しようとしていた。

 

課長「マイケルくん、ちょっといいかな?」

 

将棋や囲碁の名人は何千、何万通りという手が一瞬で浮かぶというが、僕も同様に「やばい、あの件か・・・?」とか、「いや、この件か・・・?」と一瞬でいくつもの悪手が頭をよぎった。

 

とりあえず頭をやや下げ気味で「はい、なんでしょう・・・?」と恐る恐る聞くと、「ちょっと会議室に行こうか」と言われ二人で会議室へと向かった。

 

相当でかい案件である。

 

胃をきりきりさせながら席に着くと課長の口から思わぬ一言が飛び出てきた。

 

「マイケル君、海外の半年研修には興味はないかね?」

 

半年研修とはうちの会社で行っている研修プログラムの一つで、海外の子会社に半年間研修という形で長期出張し、あらかじめ決めたテーマに沿って何かを学んで来たり調査したりするプログラムである。全員がいけるわけではなく、年に数人とかせいぜい十数人がいけるプログラムなのでかなり貴重な経験ができる。

 

僕は思った。

 

行きたくない、と。

 

いや、決して行きたくないわけではないが、もろもろの理由でこの時期には行きたくなかったのだ。

 

このプログラムはあくまで個人が手を挙げて参加するプログラムなので断ることもできる。しかし、ただただ断ると心象も良くない。そこで僕は課長にこう切り返した。

 

「いや~課長!半年じゃあ何も学べませんよ!」

 

神の一手である。やる気はあることをアピールしつつ、あくまで時間のせいにして断るという。心象を悪くすることなく、断る。この場では最善の一手であった。

 

すると課長も、

 

「そうだな・・・!いや、俺も実際そう思うよ!そうだな、うんうん。分かった、じゃあ仕事に戻るか!」とこの話し合いを切り上げた。

 

ふっ、我ながら完璧だぜ。

 

そんなこんなでまた日常へと我々は帰って行った。

 

~3時間後~

 

課長「マイケルくん、ちょっと会議室に来てくれるか」

 

マイケル「?はい、わかりました。」

 

なんだろう?お子さんの進路の相談とかかな?とか思いながら先ほどの会議室に行き、席に着いた。

 

 

 

課長「それじゃあマイケル君、ロサンゼルスに駐在に行ってもらうわ。」

 

・・・え?

 

課長「マイケル君の言うとおり半年じゃあ中途半端だと俺も思う。だから駐在ね。また詳しいことは追ってメールするわ、じゃあよろしく!」

 

こうして一人の駐在員がそのきったねえ産声を上げたのであった。

「はじめに。」

はじめまして、マイケルと言います。

 

このブログは「駐在員はどんな生活をしているのか」、「アメリカでの生活はどんなものなのか」、「駐在員はどんな仕事をしているのか」などこれから海外で働きたい、アメリカに住んでみたいと思っているそんな方々の役に立つような情報盛りだくさんの、ただただ役に立つブログにしていきたいと思います。

 

忙しさがまだ未知数なので更新頻度はなんとも言えませんが、頑張っていきたいと思います。