汗と涙とファイバーグラスの工場編パート3
4日目:
今日を乗り切れば休み…その事実だけが僕を奮い立たせていた。
もはや慣れてきた工場の臭い。しかし、心地よさはない。
人事部「今日は午前中はセットアップ、午後はリペアの工程をやってもらいます。」
セットアップとは船底に給油タンクやポンプを仕込んだりする行程で、人が実際に乗る所を取り付けるまでにやらなくてはいけない作業を行う。リペアは塗装を終えた船の塗装のムラなどをチェックし、修正する工程である。
人事部「それではさっそくセットアップの所に行きましょう。スティーブ!!マイケルよ!!」
スティーブ「よろしく」
僕「よろしくお願いします。」
スティーブ「そうだな…とりあえず今からやることを見ておいてくれ」
僕「わかりました。」
なんというか職人っぽいというか、やはりまずは見て真似よという事でしょうね。
~30分後~
チュイーーーーーーーーーーン
僕「…」
~1時間後~
チュイーーーーーーーーーーン
僕「…」
飽きた。ひたすらこう、スティーブさんがドリルで穴を開けたりするのを見てたんですけど、まさに穴が開くくらい見たというか。もうスティーブさんにもそろそろ開くんじゃないかな?みたいな。
そんなとき、スティーブさんに異変が訪れた。
ガガガガガ…!
スティーブさん「ちっ・・・!」
どうやらドリルで穴がうまく開かなくなったようだ。
よく確認するとドリルの歯がだいぶボロボロ…無理もない。
スティーブさん「まいったな・・・今手持ちのドリルはこれしかない。こいつで頑張るしかないな!!」
チュイ…ガガガガガ…!
じーーーーっ(見てます…!見てますよ、スティーブさん…!)
~1時間後~
ガガガガガ…!ガコン…!
スティーブさん・僕「!!!!」
急いで船を確認するとそこには綺麗な穴が開いていた。
スティーブさん・僕「FOOOOOOOO!!!」
思わず二人でハイタッチ。二人の仕事人が何かを成し遂げた瞬間だった。
僕「・・・という事があったのさ!」
ロビン「マイケル。お前何にもやってねえじゃねえか」
ですよねー。
午後からはスティーブさんとは別れ、リペア工程へ向かう。
僕「すいません、午後からこちらで作業することになってるのですが・・・?」
おじさん「おお、来たか。じゃああそこにいるケビンについてくれ。ケビン!!マイケルだ!!」
ケビン「よろしく。」
…いや、もうね。まずケビンを見て思ったのがね。もう、プリズンブレイクか!って。
参考図:プリズンブレイクの主人公マイケル。同じマイケルなのに僕の150倍くらい賢い設定。
タトゥーが…タトゥーがすごいことになってる。いや、もう正直プリズンブレイクよりもすごい。なんかもう耳とか鼻とかもすごいめっちゃ細かい柄が入っていて、プリズンブレイクのタトゥーが脱獄計画の詳細を記しているんだったら、ケビンのタトゥーは地球滅亡計画の詳細くらい記されてないと割に合わない。
そんなケビンだが普通に優しく仕事を教えてくれる。
船の塗装は形も複雑であるためか、結構ムラが多く、修正個所が多い。その修正個所をライトや手で触って確認して、修正が必要な個所にしるしをつけていき、しるしのある所はコンパウンドややすり、研磨機、薬品等を使って修正していく。サイズも大きい為、4,5人で作業していく。
僕はかつて車のディーラーで働いていたとき、お客さんに「どっかで擦った傷やと思うねんけどなんとか消えへんかなー」って言われ、コンパウンドでうまく消したところ、「あなた…もしかして魔法使いですか…?」と言われた過去がある。コンパウンドの扱いには心得があるのだ。また、日本の工場では塗装課で働いていたので検査の工程では無かったが、塗装のムラなどのチェックも作業中行っていた。
初めて過去の経験が活きる工程にきたなー。と思いながら順調に仕事をこなした。
ケビンのタトゥーがすごい以外は特に事件もなくこの工程は終了。ここからオクラホマでの初めての休日を過ごすことになる。
5日目:
早朝に起床。僕はワクワクしながら身支度し、オクラホマで一番栄えているオクラホマシティへと向かった。
事前にオクラホマシティの観光地を調べてみたが、特に何もでない。
とりあえず行けば何かあるだろう。そう思いながら車に乗り込んだ。
車を走らせること1時間半。
オクラホマシティに到着。
周囲を散策する。
んーなるほど!なるほどなるほど!
~1時間後~
よし、帰るか!!
いや、僕のね!事前の下調べが不十分だったのかもしれない。でも帰ろう。。。って。そうなりました。
6日目:
起床。昨日の事を思い出し、僕は静かにパソコンを立ち上げ仕事をするのであった。
つづく