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しがない駐在員の日報(LA編)

駐在員とはなんたるかを綴ったドキュメンタリー的なブログです。

汗と涙とファイバーグラスの工場編パート1

カキーーーン!!

 

 

 

青空に向かって白球を打ち、「いやー、なんとか来週には間に合いそうですね。」と僕は安どの気持ちを織り交ぜつつ先輩に言った。

 

 

 

そう、この日は南カリフォルニアの日本企業対抗ソフトボール大会的なものに向けてソフトボールの練習をしていた。

 

 

 

初めこそまったくフライやゴロが取れず、しかも打てないし、走れないという粗大ごみだった僕も練習を重ね、資源ごみくらいにはなっていた。

 

 

 

ライバル会社も複数参加企業リストに入っている。

 

 

 

負けるわけにはいかない!うおおおお、やってやるぞおおおお!!

 

 

 

大リーグ挑戦編 開幕!!

 

 

~練習後~

 

 

練習を一通り終えて、道具を返すために会社に戻った。

 

 

ごそごそと道具をしまっていたら一緒にいた上司に何やらメールが来たようでそのままメールを読み、内容を確認し、静そしてかに笑った。

 

 

なんだろうな、と思いながら引き続き道具をしまっていたら上司が口を開いた。

 

 

上司「マイケル。ボートについて学びたいって言ってたやんな??」

 

 

僕「あ、はい。そうですね、まだまだ僕も未熟ですから。」

 

 

上司「例の件、来週から行けるみたいやで?」

 

 

僕「例の件…?はっ!!ま、まさか!!!」

 

 

上司「マイケル、来週から船会社の工場に出向や!!」

 

 

僕「な、なんだってーーー!!というかソフトボールは??」

 

 

上司「(ニコッ)」

 

 

僕「(ニコッ、ですよねー)」

 

 

大リーグ挑戦編 完!!

 

 

 

 

 

この一件からわずか6日後、気づいたらオクラホマという州に来ていた。州都はオクラホマシティ。そこから車走らせること約一時間。なんというかあまり何もない街にやってきた。

 

 

「いろいろあるぞー?マクドナルドとか、ケンタッキーとか。ま、いろいろあるぞ!」と行く前に僕に語ったアメリカ人の同僚。

 

 

彼の言葉に嘘はなかった。

 

 

いろいろあるぞー?サブウェイとか、タコベルとか。

 

 

 

まぁ、そんな何もない街についた日は夜も遅かったのでそのままホテルに泊まり、翌日に備えた。

 

 

 

工場1日目:

 

7時半起床。カリフォルニアとは時差が2時間あり、実質5時半に起床。正直眠い。

 

 

「めっちゃ汚れるからこれを持っていけ。向こうで捨ててきてもいいから(ニヤニヤ)」と渡されたTシャツを着て船工場に向かった。

 

 

工場はホテルから車で約5分。

 

 

 

着くとそこにはなんとも例えづらいくらいの大きさの工場が建っていた。(野球場くらいかな?)

 

 

 

正面玄関から入り、受付のお姉さんに今日からしばらくこちらで働かせてもらう者であるという旨を伝え、担当の方を呼んでもらった。

 

 

 

待つこと5分。

 

 

人事のおばちゃんが出てきた。

 

 

 

人事「ようこそ。では早速説明に入ります。まず施設内での携帯電話の使用は禁止です。すみませんが、ここで働いてもらう以上従っていただきます。」

 

 

 

ポケモンGOできんやんけ・・・。

 

 

人事「次に出社時間ですが、今日は大丈夫ですが、明日からは6時に出社してください。」

 

 

僕「Oh, PM?」

 

 

人事「No, AM」

 

 

 

え、早すぎない?カリフォルニア時間だと実質4時に出社やん?

 

 

人事「休憩時間は8時前後に10分、2時前後に10分。そして11時付近にお昼休憩で30分です。」

 

 

 

え、お昼短すぎない?え、お昼買いに行けなくね?

 

 

 

人事「今日のお昼はなんとかして用意しておきます。」

 

 

 

僕「わ、わかりました。」

 

 

 

人事「まぁ、とりあえずはそんな感じです。毎日違った行程を回ってもらうのでその都度言います。工場の作業大丈夫そうですか?」

 

 

僕「昔日本の工場で働いていたことがあるので任せて下さい!」

 

 

 

そう、僕は新人研修のとき日本の工場で2か月半(くらいだったかな?)働いていたのでまぁ、2週間くらい大丈夫だろう。ましてや僕はかなりきつい行程に配属されていたのであれと比べたら全然余裕だろう、と。

 

 

 

この時はね、そう思っていました。

 

 

人事の人に連れられて歩いてすぐ。小さな扉の前で一瞬止まった。

 

 

 

人事「この扉の先が工場です、準備はいいですか?」

 

 

 

僕「大丈夫です!」

 

 

人事「OK,HERE WE GO!!」

 

 

扉を開けるとまず様々な音が同時に飛び込んできた。

 

 

「チュイイイイイイイイン!!!」

 

 

「ウィーーーン!!!!」

 

 

「カンカンカン!!!!」

 

 

「HEY♪YO♪マザーフ〇ッカー♪(謎のヒップホップ大音量)」

 

 

 

え?

 

 

いや、最初の方はうん。なんか結構聞き覚えある感じの音。こう、なんというか工場ですよね。

 

 

え、なんか聞き間違い?今マザーフ〇ッカーって言ってなかった?

 

 

そしてすぐさま周囲を見渡した。

 

 

まずね、怖い。もうみんなタトゥーを入れてる。

 

 

しかもどれも結構でかい。腕全体にかけてこう入れてあったりとか。

 

 

もう誰も彼もが邪王炎殺黒龍破撃てそうなんですよ。

 

 

 

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イメージ図

 

 

あとアジア人が全くいないんですね。圧倒的アウェー感。

 

 

 

後で知ったのですがオクラホマはアジア人の割合がかなり低いみたいで、マジで工場で僕一人だけでした。

 

 

大丈夫かな・・・

 

 

そんな不安の中、最初の工程へと案内された。

 

 

 

人事「ここがラミネーション行程です。ここからスタートしましょう。紹介します、ここのチームリーダーのジョッシュです。」

 

 

ジョッシュ「よろしく」

 

 

僕「よろしくお願いします。」

 

 

ジョッシュ「じゃあとりあえず僕のやることを見ててくれ。」

 

 

僕「はい。」

 

 

そういうとジョッシュは船のハルという平たく言うと船体?のベースとなっているであろう巨大なものにペタペタとファイバーグラスのシートを張り付け、細かいファイバーグラスをスプレーガンで吹き付け、専用の糊で塗りたくってシートを固定していく。これを毎回不要な糊をヘラで落としながらひたすら繰り返して層を厚くしていく。

 

 

f:id:michaelalexander:20161004113833p:plain

 

 

かなり簡略化したハルの参考図。

 

ジョッシュ「どうだできそうか?」

 

 

僕「やってみます。」

 

 

べちょーん。うまくいかない。

 

 

ジョッシュ「ははは、まぁ、難しいだろうな。こいつなんて何年もやってるが全然できないからなぁ!」

 

 

そう言いながら部下を紹介する。

 

 

「へへへ、すいやせん・・・!紹介が遅れたな、新人。俺の名前はクリス。だがまぁ、ロビンって呼んでくれ。」

 

 

クリスでなんでロビン?とはちょっと思った。

 

 

 

このロビンとやら。ジョッシュが推定30台前半とすると年齢は恐らく40代前半と推測する。

 

 

 

アメリカの実力主義が垣間見えた。

 

 

 

そうこうするうちに遅れて参加した分早速昼休憩に入った。

 

 

 

僕は直接休憩所には行かず人事の人の元へ行き、お昼をせびりにいった。

 

 

 

人事「マイケル、お昼を用意しておいたわ。これを食べなさい。(スッ)」

 

 

 

マルちゃんのカップ麺だった。。。

 

 

 

あざっすと言いながらどさくさにまぎれて二個取り、休憩所へ行った。

 

 

 

しかしここでハプニングが発生する。

 

 

お湯を沸かすものが見当たらない。あるのは水道水だけ。

 

 

 

え、どうしよう。困った。

 

 

誰かに聞こうかとあたりを見渡したらロビンがいた。

 

 

僕「ロビン、ここって何かお湯を沸かす機械ない?」

 

 

 

ロビン「おいおい、マイケル。どこに目をつけてるんだ。そこにあるだろ?」

 

 

 

ロビンが指さす方を見ると電子レンジがあった。

 

 

僕「え?」

 

 

ロビン「おいおい分からないのか?水を入れてチンするんだよ。それで出来上がりさ、簡単だろ?」

 

 

マジでか。。。

 

 

僕は言われるがまま水道水をカップ麺に注ぎレンジに入れる。

 

 

 

しかし、ここで第二の罠が発動する。

 

 

水がくさい。

 

 

もうなんというかくさい。このままレンチンしても絶対うまくいかない。

 

 

 

そんな予感をしつつ、レンチンへ。

 

 

 

待つこと3分。一応物は出来上がる。

 

 

 

さて、それではさっそく・・・!フォークで麺をすくい口に含む。

 

 

ん!!これは・・・!

 

 

従来とは違う手法で調理したことにより麺がバリカタを通り越してハリガネ状態となり、触感にアクセントを加えている!また、くさい水で溶いたスープが面妖な臭いを放ち、鼻孔をくすぐる。

 

 

 

まずい。

 

 

 

僕はそのまま静かに二個目のカップ麺をかばんにしまった。

 

 

 

そして30分の休憩はあっという間に終わり、職場に戻った。

 

 

職場に戻ると人事のおばちゃんが僕のことを待ち受けていた。

 

 

人事「マイケル、次の工程に行くよ!」

 

 

よっしゃ、次はどんなところだろう。とりあえず今の作業には早速飽きたので期待に胸を膨らませ、人事についていく。

 

 

ついていくこと3秒。

 

 

人事「はい、次はここです。」

 

 

僕「え・・・」

 

 

先ほどまでの工程の隣に移っただけだった。

 

 

ま、まさか・・・

 

 

人事「はい、今度は船体じゃなくて、船体の上の部分です。同じような作業をしてくださいね。」

 

 

僕「」

 

 

 

もぅほとんど同じ面子で作業を進める。というか先ほどまでとの違いが分からない。

 

 

死んだ目をしながら作業を進めること2時間半。ようやく10分休憩に入る。

 

 

休憩所に移動する。

 

 

だ、脱走したい・・・。

 

 

???「おいおい、しけた面してるなー?」

 

 

僕「こ、この声は?」

 

 

ロビン「どうだー?新しい職場は?あそこは初めの所と同じのように見えてまるで違う。俺は10日ともたなかった。お前は何日持つかな?楽しみにしてるぜー」

 

 

そう口にし、どっか去って行った。

 

 

(あいつなんやねん・・・)

 

 

そう思いながら静かに職場に戻った。

 

 

 

ラスト2時間の作業。ここで異変が起きる。

 

 

腕が…いたかゆい。

 

 

そう、ファイバーグラスは刺さると痛いのだ。

 

 

今そのファイバーグラスをもうマーガリンみたいに塗りたくっているといっても過言ではない。

 

 

なんというか日焼けとかの痛みに近い。ぎりぎり我慢できない感じ。

 

 

そんな僕の様子を見てひとりのおじいちゃん作業員が僕に話しかけてきた。

 

 

おじいさん「お前さん、帰ったらあつーーーーいシャワーを浴びなさい。熱いシャワーが毛穴を開き、ファイバーグラスを落としやすくしてくれるのじゃ。フォフォフォ。」

 

 

そう言い残してどっかに行った。

 

 

 

ナイスアドバイス!おじいさんさすがキャリアを積んでいるだけある。

 

 

 

???「待ちな、マイケル」

 

 

こ、この声は!?

 

 

 

ロビン「ヤツの言っていたことに惑わされるなぁ。帰ったらつめたーーーーーいシャワーを浴びろぉ。冷たいシャワーが肌の感覚を麻痺させ、痛みを和らげるんだぁ。」

 

 

 

ロビンはそれだけ言い残して去って行った。

 

 

 

…いや、結局どっちなん?

 

 

 

結局どちらが良いか分からないまま。初日の作業が終わった。

 

 

作業終了後僕は足早にホテルへと向かい、汗とファイバーグラスまみれの体を洗うべく、服を脱ぎ捨てバスルームへと向かった。

 

 

 

さて、ここからが問題だ。おじいさんの意見を取るか、はたまたロビンの意見を取るか。

 

 

 

 

迷った末、やはり亀の甲より年の劫という事でおじいさんの意見を採用し、シャワーの温度をアツアツにし、意を決してバスタブに進入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!

 

 

 

 

え、なにこれ。めっちゃ痛い。もしかして2016年に新たな拷問方法を発見しちゃった?熱いシャワーで傷穴やら毛穴やらを開いたことによってファイバーグラスが自由の身となって暴れまくり、熱いシャワーが傷口を悪戯に痛め、もう例えるならばファイバーグラスの盆踊り。祭りだ祭りだ!ってファイバーグラスが好き勝手にはしゃいでいます。

 

 

 

これはいかんとすぐにバスタブを離れ、シャワーの温度を下げに下げ、急きょロビン案に変更する準備を整えた。

 

 

 

あのじじい明日覚えておけよ・・・と再びバスタブに進入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ANGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!

 

 

 

あれ?2016年に早くも2個目の拷問方法発見?先ほどの痛みが動の痛みだとしたらこちらは静の痛み。開いていた各穴を冷たい水によってキュッと締め上げ、その動きがファイバーグラスの肌への侵入を助長した。また、冷たい水がボロボロの肌にスコールのように強く打ち付け、刺激を与えてくる。痛い。

 

 

僕はすかさずバスタブから離れ、床に四つん這いになって痛みに耐えた。5分ほど。

 

 

 

僕もまだまだ若いと自負していてこの先何十年と生きる予定ですが、恐らくですよ?この先含めた人生トップ3に入る屈辱的な格好をしていたと思います。

 

 

 

「まだ初日、なのか・・・。」思わずそうつぶやき、初日を終えた。

 

つづく