しがない駐在員の日報(LA編)

駐在員とはなんたるかを綴ったドキュメンタリー的なブログです。

最終出社日〜僕はそこまで有名人じゃあないという話〜

先週の金曜日は本社での最初出社日でした。

この前日までは気持ち的にフワッフワッしてて、後輩達の前で「アメリカでどうしたらええねん…!」とそれはそれは情けない姿を晒してたんですよ。

回転寿司をみんなで食べてたんですけどね。いつもなら必ず食べるカリフォルニアロールもこの時ばかりは食べないというアメリカに対する細やかな反抗を見せていました。

日本でやり残した仕事はないか?このままアメリカへ行ってもいいのか?本当に向こうで仕事をやっていけるのか?嫁さんは果たして本当に見つかるのか?色んな気持ちが渦巻いていました。

もうはっきり言いましょう。僕の気持ちの方が回転寿司よりもぐるぐる回ってました。

それがですよ。不思議と最終出社日の朝。すっと起きて、「ま、なんとかなるか」と気持ちが落ち着いていたんですよ。気持ちが回転寿司から回らない寿司になってたんですよ。

もう、何というか大学生のバイトじゃなくて歴戦の大将が握ってくれてるようになってました。へい、おまち!みたいな。

そんな気持ちでね。ゆるりと出社しました。

午前中。

まず、パソコンでメールをチェック。仕事を全て後輩と上司に引き継いだので僕宛のメールはほとんどありません。

ほとんどないんですけど、一つだけ僕がこの日に受け取らないといけないメールがあったんです。

ズバリそれはアメリカに着いてからの具体的スケジュール。

どこに泊まるとか、いつ出社するとか、誰が迎えに来るとかそういう感じのです。

メールボックスを開ける。

メールを探す。

見つからない。

一回Outlookを閉じる。

再度開く。

メールを探す。

ない。

なるほど、これ一見すると何もメッセージが無いように思えますが、僕には見えます。

ズバリこれは駐在員たるもの一を聞いて十を知れというメッセージですね?限られた情報で正解までたどり着いて見よ。的な。

昨日までの僕ならいざ知らず、今は大将なんでね。冷静沈着に魚を締めるように、「後日gmailに送って下さい」とリマインドメールを送っておきました。(後日ちゃんと届きました)

午後。

後片付け的なことをしつつ、挨拶回り。

この時お世話になった人達に色々とご挨拶していたのですが、ほとんど関わった事のない人達や知らない人達からも結構話しかけられまして、「頑張ってね」とか「体には気を付けてね」的な事を結構言って頂いて本当に嬉しかったです。

嬉しかったんですが、全然知らない人から「キャプテンアメリカになってこいよ!ガハハハハ!」と言われたのだけは本当にリアクションに困りました。嬉しかったですけどね。

まず僕そもそもアメコミそんな知らないんでキャプテンアメリカも全然知らないんですよ。なんか人を助ける青い人ってことしか知らなくて、僕の中ではドラえもんと同じなんですね。

だからとりあえずより身近なドラえもんを目指す事にしました。

終業後。

午後皆様からの熱いメッセージを自分の中で反芻しながらオフィスを後にしました。

帰ってる途中でも結構話しかけられたりしましてね。またまた知らない人達からも暖かいお言葉をいただきながら帰っていたのですが、もうその頃には目頭が熱くなり、汗だかなんだかよく分からないものが目に溜まってました。

そんな中会社の外に出るゲートに向かって歩いていたのですが、途中で財務部とかがある建物の横を通り過ぎていたら遠くの方で大きく両手を振ってる人が三人ほどいたんですよ。

どう見ても知らない人達。

「おいおい、どんだけこの会社は温かい会社やねん…!」と僕も負けじと手を振ったんです。

すると予想に反して「え?」みたいな顔をされたんです。

僕も「え?」ってなってふと後ろを見たら車が一台来ていて、運転手も「え?」って顔してるんですよ。

それでね、僕気づいちゃったんですよ。あ、この車を誘導してたんだって。

そこからですよ、もう一目散に逃げました。心底最終出社日で本当に良かった。

この少し前まで僕の目に溜まっているものが何なのか分かってなかった僕ですが、最終的には涙だったなって。そんな話です。